「人生の経営戦略」山口周の本にみるサバイバル的考え方

メンタルを守る

今回ご紹介する「人生の経営戦略」という書籍は、古典ではなく現在を生きる我々の時代に必要なサバイバルに必要な知恵を授けてくれる書籍になります。

ここではこのサバイバルに役立つ考え方というポイントに絞って書籍をご紹介させていただこうと思います。

著者の山本周氏は、元は電通で広告プランニングに携わった後、外資系のコンサルティング会社に勤務しながら企業の経営戦略などに携わった後、独立し個人経営者としてコンサルティングを仕事にしてきたという経歴の中で、この経営戦略の考え方が個人の生き方に適用できるのではと思いこの本を執筆されたそうです。

そもそも、人生をゲームとして捉えた場合、勝ちとはどういう状態で負けとはどういう状態かを理解する必要があります。それをしっかりと認識することで、勝つための戦略を立てることが可能になるといいます。

そこで、人生での最終的な勝ちと何かを定義した場合、持続的なウェルビーイング(心身ともに充足した幸福感)の状態を実現することになります。

本書では、このウェルビーイングを実現するための方法を様々な経営戦略に照らし合わせて紹介しています。

ウェルビーイングを実現するために必要なことは

まず、皆が共通で持っている時間資本を人的資本、社会資本、金融資本の順に変えていくことでウェルビーイングが実現できるといいます。

ウェルビーイングの条件が以下の三つになります

  1. 人的資本→自己効力感
  2. 社会資本→社会的つながり
  3. 金融資本→経済的安定性

自己効力感は、自分の能力が社会の役に立っていると実感できることで、社会的つながりとは、家族や友人と良好な関係が築けている実感があること、そして経済的安定性は、多少の事があっても生活に支障をきたさないだけの金銭的な余裕があること。

これらのどれか一つだけが突出していて、その他は全くないといった状況であれば、このウェルビーイングは実現されないことになります。

長期戦略

人生とトランプなどのカードゲームとの違いは、人生はいつ終わるか分からない長い長い時間がかかる長期ゲームだということです。

たとえ目先の一手が一般的に見て失敗と思える選択でも、長期的に見れば有効打だったということが人生では起こり得ます。なので、目先の一手が有効というだけでは人生全体を通して勝ちにはならないという事がいえます。

自分のポジショニングを考える

物の価値は需要と供給の関係によって決まるので、需要が多く供給が少なければそのものの価値は高くなりますし、逆に需要が少なく供給の多いものは価値が低くなります。

人生のポジションも同様に、希少価値の高いポジションを狙うのが生き残り戦略としては有効になります。

能力を変えるより立地を変えた方が有効な場合がある

我々はしばしば、自分が窮地に立たされた時にはスキルや知識を身につけることで状況を打開しようと試みますが、実は立地や環境を変えるだけですぐに解決することもあり得るのです。

不確実な世の中を生きるにあたって、常に何が起きても方針転換や撤退ができる選択肢を残しておくことが重要だといえます。選択肢が減る選択はどんな選択でも悪手といわれます。

そういったいつでも変化できる選択肢を持っておくという事もサバイバルには有効です。

打率よりも打席の数を重視する考え方

成功している人をみて、才能のある人が百発百中で当てていると勘違いしてしまいがちですが、実はそうではなく、成功者というのは多くの失敗があるうちのほんのわずかの成功が認められたに過ぎないと研究データでわかっています。

ですので、考えに考えた一手で勝負するよりも、下手な鉄砲も数うちゃ当たるといった考え方で多くのアウトプットを出す方が当たる率が高いといえます。

とにかく、不確実な世の中では安全策だけではなく、不確実でも当たれば人生が変わるような打席に多く立つ選択肢も持っておく方が有効だといえます。

自分のモノサシを持つことの大切さ

自分の価値観を持てなければ「他人から羨ましがられる目標」とか「世間で成功とされる目標」に時間資本を配分してしまうことになって、本当の自分らしいウェルビーイングからは遠のいてしまいます。

こういった世間の価値観に左右されるのではなく、自分自身のモノサシを持って自分の価値観に合った自己評価を基準にして生きていくことが何よりも大切になります。

本文を引用すると、「他者から与えられたモノサシを受け入れること」は、そのまま「他者の支配を受け入れること」につながります

まとめ

今の時代について考えてみると、過去の高度経済的成長期を知っている上の世代がまだ経済成長ができると考えてそれを標榜している世の中の風潮に会社で働く下の世代は疲れています。

現実はもうそんな幻想は終わっていて低成長は当たりまえの時代になっており、それをどう伸び伸びと生きてウェルビーイング(心身ともに充足した持続的な幸福感)を実現できるかの時代になっています。

そういった中で、我々の人生を経営戦略の視点で考えた場合には、目先の事だけでなく長期で見た場合の戦略として、時間を有効な経験につぎ込むことが大切であることがわかります。

また何より自分のモノサシをしっかりと考えて知っておくという事もこの人生ゲームを生き残っていくためには必須だといえます。

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